バケットリスト110) バンドをする
学生の頃、私はバンドをやっていました。
今振り返っても、本当にやってよかったなと思う経験のひとつです。
バケットリストに「バンドをやる」と入れたのは、20代の頃。
夢を叶えたい!というよりは、「やっていて本当によかった!」という思いでリストに残したものです。
バケットリストには、これから叶えたい夢もたくさんありますが、すでに経験したものの中で「死ぬまでに体験してよかった!」と心から思えることは、あえて残すようにしています。
バンド活動もそのひとつ。
今となってはもうやる予定はないけれど、あの時間があったからこそ今の自分がいると思います。

バンドの思い出は一生の宝物です。
きっかけは友人たちのひと言でした
私がバンドをやることになったのは、男の子の友人たちに誘われたのがきっかけでした。
彼らはロックが大好きで、ある日「バンドを組もう!」と盛り上がり、すぐにギターやベース、ドラムを担当するメンバーが決まったそうです。
でも、やりたい曲に「女性ボーカルの曲」もはいっていて、「女の子に歌ってもらいたいよね」という話になったのだとか。
そんな流れで、私のところに声がかかりました。
「バンドに入らない?」
最初は驚きました。
「バンドなんて、自分とは無縁の世界」と思っていたし、ステージに立つなんて考えたこともなかったからです。
でも、もともと音楽は好きだったし、ピアノを習っていたこともあったので「キーボードもできるなら助かる!」と言われ、思い切って挑戦してみることに。
こうして、私はバンドのボーカル兼キーボードとして活動することになりました。
バンド活動の日々
バンド活動が始まると、毎日が音楽中心の生活になりました。
平日は学校が終わると楽器屋さんに寄って楽譜を探したり、放課後に友人の家で練習したり。
週末はスタジオを借りて、本格的に音を合わせることも。
自分たちの機材を持ち寄って、音を合わせる時間が、何よりも楽しかったのです。
最初はなかなかリズムが合わなくて何度もやり直したり、「え、私こんなに音痴だったっけ?」と落ち込んだり、もどかしいこともありました。
でも、何度も繰り返しているうちに、だんだん息が合ってくる瞬間があって。
その一体感にわくわくして、何かを作り上げている感じが最高でした。
でも、少しずつみんなで息が合ってくると、演奏するのがどんどん楽しくなっていきました。
バンドメンバーも、友人を超えて、仲間になっていき、一体感も生まれてきました。
ボーカルとして歌っているとき、自分の声がドラムのリズムにのり、ギターの音に包まれていく感覚は、言葉にできないほど気持ちよかったです。
ライブの本番でも、ステージの上から見た客席の光景は、今でも目に焼き付いています。
「音楽、バンドって、こんなに夢中になれるものなんだ!」
そう思ったのを、今でもよく覚えています。
ライブの興奮と達成感
バンドをやっていて、何より楽しかったのがライブ!
文化祭や地域のライブイベントに出演することが決まり、みんなで猛練習。
初めてのライブのときは、心臓が飛び出しそうなほど緊張しました。
でも、ステージ用の素敵な衣装を着て、ステージに立ってしまえば、緊張よりも「楽しい!」という気持ちが勝って、気づけばあっという間に演奏が終わっていました。
「ステージに立つって、こんなに気持ちいいんだ!」
お客さんが拍手をくれて、仲間とハイタッチして、達成感でいっぱいになった瞬間は、今でも忘れられません。
その後、ライブハウスでも演奏する機会があり、もっと本格的に活動したいね!なんて話していました。
コンクールにも挑戦
バンドのメンバーとは、「せっかくだから、コンクールにも出てみよう!」ということになり、学生バンドのコンテストにも挑戦しました。
結果は…正直なところ、大きな賞を取るようなことはなかったけれど(笑)、審査員の方から「チームワークの良さが伝わってくる」と言われたときは、とても嬉しかったです。
こうやって、バンドの活動はどんどん本格的になっていきましたが、メンバーの進路の関係で、2年ほどで解散することに。
最後のライブでは、みんなで泣きながら演奏しました。それほど、バンドは大切なものになっていたのです。
バンド活動を通じて得たもの
バンドをやってよかったなと思うのは、音楽の楽しさを知ることができたことはもちろん、それ以上に「仲間と一緒に何かを作り上げる喜び」を感じられたことです。
ひとりで練習するのとは違い、みんなで音を合わせることで初めて完成する音楽。
時には意見がぶつかることもあったけれど、それを乗り越えて一緒に作り上げた曲には、特別な思いが詰まっていました。
また、ライブを経験したことで「人前で何かをすること」への抵抗がなくなりました。
あの経験があったからこそ、今でも新しいことに挑戦するときのハードルが少し低くなっている気がします。
もう一度、バンドをやる?
バケットリストには「バンドをやる」という項目を入れましたが、これは「もう一度やるためのリスト」ではなく、「やってよかったこと」として残しているものです。
今の私は、バンドを再びやるつもりはありません。
でも、あの頃の経験は今も私の心の中にあって、音楽を聴くと当時のことが鮮明に蘇ります。
「ああ、楽しかったな」
「やってよかったな」
そう思えるだけで、バンドをやっていた意味があるんじゃないかなと思います。
これからの人生、また新しいことに挑戦していくけれど、バンド活動は私の中でひとつの大切な思い出として、ずっと残り続けるはず。
そして、とても不思議なことに、あの頃の思い出は、いつの間にか「自分の歴史」として、娘にも自然と語ってきました。
「お母さん、昔バンドやってたんだよ」
そう話すと、娘はちょっと驚いた顔をして、「えー!かっこいい!」と笑います。私の中では当たり前だった過去も、娘にとってはちょっとしたエピソードのようで、なんだかくすぐったい気持ちになります。
もし、娘がいつか「バンドやってみたい」と言ったなら、私はきっと笑顔で「いいね、やってみなよ」と答えると思います。
だからこそ、バケットリストの中でも「済」にすることにしました。
音楽はこれからもずっと好きでいると思うし、聴くことであの頃のワクワクした気持ちを思い出せる。それだけで十分です。
人生の中で「やっておいてよかった!」と思えることがあるって、幸せなことですね。
バケットリストをひとつずつ振り返ることで、過去の自分にも「ありがとう」と言いたくなります。
さて、次はどのリストを叶えていこうかな?また新しい思い出を作るのが楽しみです♪